コラム

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建設業で働き方改革を成功させるには?長時間労働の是正と生産性向上のポイント

2024.12.26

近年、少子高齢化や生産年齢人口の減少を背景に、日本では「働き方改革」が社会的に重要な課題として注目されています。特に建設業界は、長時間労働や人材不足が深刻であり、従来から課題を抱えていました。
しかし、社会のインフラ整備や災害対応などを担う建設業にとって、働き方改革は避けて通れないものです。

本記事では、建設業における働き方改革の背景や課題、政府が打ち出した「建設業働き方改革加速化プログラム」の内容、そして弊社が実施している取り組みについて詳しくご紹介します。
建設業の未来を支えるために、業界全体がどのように変革を進めているのかをぜひご覧ください。

働き方改革とは?

「働き方改革」とは、働く人々が、個々の事情に応じて多様で柔軟な働き方を自ら選択できるようにするための改革です。

日本が直面している「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「働く方々のニーズの多様化」などの課題に対応するには、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や能力を存分に発揮できる環境をつくることが必要です。
働く方々の置かれたそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現することが、成長と分配の好循環を構築し、働く一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。

時間外労働の上限規制について

長時間労働は健康の確保を難しくするだけでなく、仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化や女性のキャリア形成、男性の家庭参加を阻む要因となっています。

長時間労働を是正することで「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」が改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり、労働参加率の向上に結びつくと考えられます。
このため、「働き方改革」の⼀環として労働基準法が改正され、時間外労働の上限が規定されました。

労働基準法では「1日8時間・1週間40時間」を上限とする法定労働時間が定められており、この枠を超えた残業は法定時間外労働にあたります。
法定時間外労働は「36(サブロク)協定」を締結することで可能ですが、今回の改正で、原則として「月45時間・年間360時間」までとなり、臨時的・特別な事情がない限りこれを超えることはできなくなりました。
また、臨時的・特別な事情があって合意した場合でも、次の時間を上回らないようにしなければなりません。

<臨時的・特別な事情がある場合の「特別条項」でも守るべき上限>

  1. 年720時間(月平均60時間)
  2. 年720時間の範囲内で、
    ①2〜6ヵ月の平均でいずれも80時間以内(休日出勤を含む)
    ②単月100時間未満(休日出勤を含む)
    ③原則(月45時間)を上回る月は年6回を上限

上記の時間外労働の上限規制が、大企業では2019年4⽉から、中小企業では2020年4⽉から導入されています。これまで、建設業では、長時間労働や休日をとりにくい状態が恒常化していたため、新ルールの適用に5年間の猶予期間が設けられていました。

しかし今年(2024年)4月以降は、建設業においても、一般企業同様、上限ルールを守らなければならなくなりました。

建設業で働き方改革が進まなかった理由は?

時間外労働の上限規制に関して、建設業に5年間の猶予が設けられた理由には、先程の章で述べたように、長時間労働や休日をとりにくい状態が恒常化していることに加え、深刻な人材不足がありました。

国土交通省の資料「建設業を取り巻く現状と課題」によると、2021年時点で建設業では、全産業平均と比較しても年間90時間以上の長時間労働が行なわれていました。
休日についても、4週8休を取得している企業は1割以下となっており、4週6休程度が最多と、他産業では当たり前となっている週休2日もとれていないことが報告されています。

働き方改革の強化は必須課題ではあったものの、他業界に比べても就労者数の減少、高齢化、後継者不足が著しかったため、働き方改革をすぐに実現するのは困難であると判断されました。
しかし、政府は「将来の担い手」を確保したいという狙いで、建設業においても適用することに踏み切りました。

「建設業働き方改革加速化プログラム」とは

「建設業働き方改革加速化プログラム」は、建設業界における働き方の課題を解決することを目的として、2018年3月に国土交通省が策定しました。
建設業の働き方改革を推進するため、長時間労働の是正、給与・社会保険の改善、生産性の向上の3つの分野における施策が打ち出されています。

今後も、建設業が社会インフラの整備や住宅建設、災害対応を通じて社会を支え続けるため、重要なプログラムといえます。

①長時間労働の是正

“罰則付きの時間外労働規制の施行の猶予期間(5年)を待たず、長時間労働是正、週休2日の確保を図る。特に週休2日制の導入にあたっては、技能者の多数が日給月給であることに留意して取組を進める。”

4週8休(週休2日)を実現できない企業が多いなか、弊社 起産建設株式会社では5年の猶予期間を待たず、完全週休二日制を採用
更には有給休暇・育児休暇・介護休暇・特別休暇などの休暇制度を充実させ、取得を推奨しています。
また、納期スケジュールによっては多少の残業が発生することはありますが、就業時間も基本的には8:00〜17:00の8時間とすることで、長時間労働の是正に取り組んでいます。

②給与・社会保険の改善

“技能と経験にふさわしい処遇(給与)と社会保険加入の徹底に向けた環境を整備する。”

弊社では、一級建築士・一級建築施工管理技士・一級土木施工管理技士などの資格手当や職能評価制度を導入し、技能や経験を適切に反映した給与体系を実現しています。

③生産性の向上

“i-Constructionの推進等を通じ、建設生産システムのあらゆる段階におけるICTの活用等により生産性の向上を図る。”

業務時間の負荷を軽減し、業務時間の超過を防ぐなど、仕事の効率化を行うことも建設業のテーマです。
弊社では行政機関に対する申請手続きの電子化を進めており、建設業許可等についても電子申請などを積極的に活用しています。また、人材を効率的に活用するために、危険予知トレーニングを行ったり、ベテラン社員のノウハウを若手社員に共有する社内研修や、社員の資格取得をサポートする勉強会などを定期的に開催し、生産性の向上に努めています。

まとめ

働き方改革は、個々の働き手が健康で安心して働ける環境を提供するだけでなく、建設業界の持続的な発展にとっても不可欠な要素です。
長時間労働の是正や給与・社会保険制度の改善、生産性向上に取り組むことで、建設業界はさらなる成長を遂げることが期待されます。

弊社では、従業員一人ひとりが充実した働き方を実現できるよう、今後も制度の改善や新たな技術の導入に努めてまいります。

未来の建設業を支えるために、私たちは挑戦を続け、より良い社会の構築に貢献していきます。

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