03
S造(鉄骨造)は、アパートやマンション、ビルなどの建物には、多く採用されています。
S造(鉄骨造)のほかにも、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)やRC造(鉄筋コンクリート造)などの種類があり、どの構造で建築するのがよいのか判断がつきません。
建物の構造が違うだけで、コストはもちろん住み心地も変わるため、構造選びは重要です。今回はS造の特徴や、その他の構造との違いを解説します。
S造(鉄骨造)とは、建物の骨組みの部分に「鋼鉄(Steel)」を用いた構造のことです。
鉄は軽くて強い特徴があるため、マンションやアパートだけでなく、倉庫や体育館、高層ビルなどの大きな空間の構造にも向いています。
S造(鉄骨造)は、「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」に分類されます。使用する鉄骨の厚み、採用される工法、向いている建築物が違います。
以下より2つの特徴を解説します。
軽量鉄骨造は、厚み6mm未満の鉄骨を使用し、「鉄骨軸組工法(ブレース構造)」を用いて建築されます。「鉄骨軸組工法(ブレース構造)」とは、従来の木造建築と同じ工法で、柱や梁に木材ではなく鉄骨を使用し、ボルト接合で固定する工法です。
軽くても頑丈な構造で、主に2〜3階建てのアパートで採用されています。
重量鉄骨造よりも費用が安く抑えられます。品質のばらつきが少なく地震など揺れによる建物への影響が小さいのが特徴です。
一方で、重量鉄骨造よりも防音性や断熱性が低く強度も弱いデメリットがあります。間取りの自由度もあまり高くありません。
重量鉄骨造は、厚み6mm以上の鉄骨を使用します。柱や梁を溶接で接合し、枠を一体化する「鉄骨ラーメン構造」と呼ばれる工法で建築します。
おもに3階建以上の大きな建物の建築で採用されるケースが多く、軽量鉄骨と比較すると防音性や断熱性、建物の強度に優れています。
軽量鉄骨よりも柱が太く、少ない本数で建築できるため、間取りの自由度が高く、広い空間を作るのに向いています。
軽量鉄骨造よりも鉄骨の厚みが大きい分、地盤をしっかり補強する必要があり、費用がかかるのがデメリットです。
S造(鉄骨造)の1坪あたりの建築費(坪単価)相場は、「軽量鉄骨造」で80万〜100万円、「重量鉄骨造」で90万〜120万円です。
鉄骨の厚みによって価格に差が生じます。
建築や解体工事を行う際は、坪単価で費用が決定します。S造(鉄骨造)は10年前と比べ、坪単価の水準が年々上昇傾向です。
幅広い建物に採用できるS造(鉄骨造)ですが、もちろん建築の際の向き不向きがあります。
S造(鉄骨造)の主なメリット・デメリットをご紹介します。
S造(鉄骨造)建築のメリットは次のとおりです。
建物の耐用年数は、立地やメンテナンス状況に左右されますが、一般的にS造(鉄骨造)は、W造(木造)よりも耐用年数が長いのが特徴です。
耐用年数の目安は、木造の場合は40〜50年、鉄骨造の場合は60〜70年と20年ほど差があります。
構造は耐用年数を左右する大きなポイントで、雨水や紫外線の影響を受けにくい材料を用いた建物の方が耐用年数は長くなるのです。
特にS造(鉄骨造)の場合は、内側の鉄骨部材を錆びないよう管理すれば、建物の寿命をさらに延ばせます。
S造(鉄骨造)は、RC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)よりも建築費を抑えられます。
S造(鉄骨造)の中でも軽量鉄骨造は、主な部品を工場で組み立てて工期を短縮することで人件費を抑えられます。また、安く部材を購入できるのも建築費を抑えられる理由の1つです。
費用が高いコンクリート材を使用しないため、高層ビルの建築にも適しています。
W造(木造)の方がさらに安く建築できますが、近年では木材価格が上がっています。S造(鉄骨造)との差は縮小傾向です。
W造(木造)は木によって含水率が異なったり、材料の品質にばらつきがあったりします。
一方でS造(鉄骨造)は工業製品に近く、材料の生産から組み立てまでコンピューターで制御された機械を用います。
そのため、S造(鉄骨造)は、建物を建設する工程で品質を安定して担保しやすいのがメリットです。
品質安定度はRC造(鉄筋コンクリート造)よりも高くなります。
S造(鉄骨造)建築のデメリットは次のとおりです。
S造(鉄骨造)に使用される鉄骨は、強度が高く変形しにくいのが特徴ですが、火や熱には強くありません。
とくに鉄は熱を通しやすいため、断熱性能を上げる対策が必要です。
また、錆びやすい性質もあります。潮風の影響を受けやすい海の近くの場所には適していません。
石膏ボードを採用すると断熱性を強化可能です。耐火性に優れた材料、錆止めの塗料を使用すればデメリットの軽減はできますが、その分費用がかかります。
熱の振動が伝わりやすいS造(鉄骨造)は音も伝わりやすく、遮音性を高める対策が必要です。
床を作る場合、乾式工法と湿式工法があり、湿式工法の方が費用は高額になりますが遮音性は高くなります。
湿式工法とはQLデッキプレートを梁の上に取り付け、その上に鉄筋を敷きコンクリートを打ち込む方法です。
さらに一般的な合板の床板ではなく、ALCパネルという気泡発泡コンクリートの板を入れて遮音性を高める方法もあります。
S造(鉄骨造)はしなやかさがある材質が特徴ですが、地震や風の影響を受けやすいのがデメリットの1つです。
建物が揺れやすくなり、RC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)と比較すると、耐震性は劣ります。
しかし、免震構造を採用したS造(鉄骨造)も増加しており、耐震性を高める対策が施されています。
建物の構造には、S造(鉄骨造)の他にも、以下3つの構造があります。
それぞれの構造のメリット・デメリットをご紹介します。
W造(木造)は、材料が軽量なため、柔軟な施工が可能です。地盤補強が難しい狭小地や変形地、細い路地の奥にある土地などにも対応できます。
他の構造に比べて工期が短く済むため、建築費が抑えられるメリットがあります。
また、W造(木造)は気温や湿度の変化が大きい日本の気候にも適した構造です。たとえば、気温や湿度が高い地域や梅雨の時期には、木材が空気中の水分を吸収し、乾燥する冬には木材が含んでいる水分を放出します。
湿気や熱が建物内にこもりにくく、通気性にも優れているため気候に左右されないのがW造(木造)のメリットです。
W造(木造)は、他の構造と比較して遮音性や耐震・耐火性が低いのがデメリットです。
風通しがよい一方で、気密性が低いといった特徴もあるため、冷暖房効率は悪くなり光熱費に影響します。
ただし、木造枠組壁工法の一種である2×4インチの木材(ツーバイフォー材)を柱として、構造用合板と組み合わせて作る工法を採用すれば、遮音性や耐震・耐火性を向上可能です。
耐震、耐火性に関しては、鉄よりも高い水準になります。
またW造(木造)は、シロアリなどの害虫被害にも注意しましょう。定期的に点検を行い、薬剤を散布するなどメンテナンスが必要です。
RC造(鉄筋コンクリート造)は、鉄筋とコンクリートの長所を活かした構造です。鉄筋は引っ張る力に強く、不燃材料のコンクリート材は耐火性に優れ、圧縮に強い特徴があります。
RC造(鉄筋コンクリート造)は、基礎や柱、梁などの継ぎ目のない一体化した造りです。デザインの自由度が高く、耐震性に優れているのが魅力です。
内部や外部からの音、高い音や低い音も聞こえにくく、遮音性に優れています。気密性の高さは冷暖房効率の向上に繋がり、省エネルギー効果が期待できます。
RC造(鉄筋コンクリート造)は、強固な地盤作りやコンクリートを流し込むなどの工数が増えることで、W造(木造)やS造(鉄骨造)と比較すると建築費用が高くなりがちです。
また、高い気密性は冷暖房率が向上する一方で、結露やカビが発生しやすくなります。
ただし、耐久性の高く腐食にも強いため、メンテナンスのコストを考慮するとトータル的に見ると、高いだけではありません。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は、耐震性や耐火性の強度が最も高い構造です。高層ビルやタワーマンションにはSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)が採用されています。
S造(鉄骨造)のしなやかさや粘り強さ、RC造(鉄筋コンクリート造)の耐久性、2つの良いところを備えています。
コンクリート特有の強度を活かし、柱の本数を減らしたりサイズを小さくできるため開放的な空間が設計できます。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)は、RC造(鉄筋コンクリート造)の内部に鉄骨を入れるため、材料費、基盤改良費、人件費などがかかります。他の構造よりも建築費用が高額になる点が1番のデメリットです。
また、高い気密性があることから、結露やカビが発生しやすくなります。
S造(鉄骨造)は建物の骨組みに鋼鉄を使用した建築構造で、マンションやアパートなどの住居の他にも、ビルや倉庫など幅広い建物に採用されています。
建築費を抑えながらも、耐用年数が長く、品質が安定した建物を建築できます。
弊社起産建設は、商業施設、住居施設、公共施設、医療福祉施設など、幅広いジャンルの建築を手がけてまいりました。
S造の建物も多くの実績があり、とくに商業施設(店舗)の建築は、高い評価をいただいております。
設計から監理、施工、そしてアフターメンテナンスまで建築全般にわたる業務を一括して行っております。S造での建築をご検討の方は、ぜひご相談ください。
建築のご相談・お問い合わせは
こちらから!